その469 「はかしい」のこと 2017.8.9

2017/08/09

私は子供の頃、大変に乗り物酔いをしたので、吐き気のある人には強い同情と共感を覚える。
英語で「吐き気」はnauseaであり、その形容詞はnauseousであるが、
「吐き気がある」という時の日本語に、適当な形容詞はないように思う。
ところが、土佐弁には「吐かしい」という言葉がある。
それは土佐でも、年配の方が使う言葉で、私の周りでは祖母が言っているのを聞いただけだ。
広辞苑にも載っていないが、船酔いなどの吐き気を表すのにぴったりの表現だ。

 

動詞から形容詞に使われる言葉は他にもあるようで、
「嘆く」の「嘆かわしい」、「悩む」の「悩ましい」、「ねたむ」の「ねたましい」、
良い方の言葉では「好む」の「好ましい」、「喜ぶ」の「喜ばしい」などがある。
現代語では動詞の語尾がア行に変わって「しい」が付く。
古語ではそれぞれ「嘆かわし」「なやまし」「ねたまし」「好まし・好もし」「よろこぼし」となる。
ただ、古語辞典には「吐く」も「吐かし」も載っていない。

 

土佐の夏本番のよさこい祭り、今夜の花火で開演である。
当院の応援する上町踊り子隊は子供たちの踊り子隊で、きりりと着飾った女の子達と、
若干名だがやる気満々の男の子達がさわやかに踊ることが一番の見どころである。

 

練習を積んでいる子たちだから心配ないと思うけれど、
熱中症で吐き気がする、なんてことがありませんように。
踊りの出番前は日陰やバスで休み、水分補給を十分にして、頑張ってほしい。
うれしい、楽しい、やり切った、の夏の思い出になりますように。